日記

10代で聴いていた音楽は、なぜ特別に感じるのか

10代の頃に聴いていた音楽を、今も特別に感じている人は多いんじゃないだろうか?

あの頃の曲だけが持つ不思議な引力がある。

10代で聴いていた音楽に特別な力が宿っている感覚は確かにある。

音楽は、音そのものというよりも、それを聴いていた時間や感情と強く結びついて記憶されるものだと思う。

ある曲を聴いた瞬間に、当時の空気や、考えていたこと、身体の感覚まで一気に立ち上がることがある。

まるでタイムトラベルのような感覚だ。

今のところ、私にとってそれが起こるのは、10代の頃に聴いていた音楽だけだ。

これは、10代という時代そのものが特別だった、という話ではない。

何歳であっても、人生には特別な時間があるし、大人になってからも新鮮な体験はいくらでもできる。

それでも、20代以降に出会った音楽には、同じ種類の「戻される感覚」はあまり起こらない。

なぜだろうか?

ひとつ思うのは、10代の頃は、音楽を「使っていなかった」ということだ。

大人になってからの音楽は、気分転換だったり、作業用だったり、移動中のBGMだったり、生活のどこかに“配置”されている。

便利に使われている、とも言える。

一方で、10代の頃の音楽は、生活の背景ではなく、中心に近い場所にあった。

音楽を聴きながら何かをしていたというより、音楽を聴くこと自体が、その日の出来事だった。

もうひとつは、当時の自分の輪郭が、まだ固まりきっていなかったことも大きいと思う。

価値観も、好みも、世界の見え方も、まだ不安定で流動的だった。

その状態で聴いた音楽は、「好きなもの」というより、自分の一部として染み込んでいったのではないか。

20代以降になると、自分なりの文脈や判断軸がすでにある。

新しい音楽に出会っても、それは「今の自分が聴いているもの」として処理される。

どこかで評価し、分類し、棚に収めてしまう。

10代の音楽は違う。

「今の自分」ではなく、「まだ名前のついていなかった自分」と結びついている。

だからこそ、聴いた瞬間に、その時代へ引き戻される。

懐かしい、というより、一時的に過去の自分に戻ってしまう感覚。

その入り口は、今から新たに作ろうとしても、たぶんもう作れない。

あの頃だけが持っていた、無防備さと流動性の中でしか生まれなかったものだから。

だからこそ、10代に聴いていた音楽は、今も特別なまま心の中に残り続けているのだと思う。

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