NHKの朝ドラ『ばけばけ』。
本当に面白くて、毎日楽しみにしている。今のところ三週遅れだけれど…
このドラマから感じるのは、「今いる場所は、あるきっかけで一変してしまう、とても危ういものだ」というテーマだ。
そして、ただ悲観的になるのではなく、毎日一秒一秒、この瞬間を大事に生きていこう、というメッセージも同時に受け取っている。
主人公・トキの家は、もともと松江藩の武士の家柄だったが、明治維新によって没落してしまう。
物語のかなり早い段階で「没落」を描いている点が、とても重要なポイントに感じた。
なぜなら、今の時代、それとよく似たことが当たり前のように起きているからだ。
人気タレント、それも何十年もテレビの中心にいたような人が、たった一つのきっかけで姿を消す。
寿司屋で醤油の入れ物を舐めた高校生が、日本中から叩かれ、ニュースになる。
一つの過ちで、人生が台無しになることは、もはや珍しくない。
そして、その様子を見て楽しんでいる人が少なくない、というのも事実だと思う。
もちろん、許されない行為ではある。
ただ、それを非難する人だけで、ここまでの拡散力が生まれているとは思えない。
「没落する様がおもしろい」「いい気味だ」という感情が、以前より強く蔓延しているようにも感じる。
差別やいじめは論外だ。
けれど、だからといって、すべてを晒し上げていいという風潮には、正直、恐怖を覚える。
いじめやいたずらをしなければいい、ネットリテラシーを守ればいい、という単純な話でもない。
AIでどうとでもできてしまう時代でもある。
何もしないことが賢さなのか。
正しさとは何なのか。
今一度、問い直す必要があるのではないかと思う。
そんな時代に、没落や差別を描く『ばけばけ』は、とても重要なドラマだと感じている。

